ミトコンドリア外膜で小分子/イオンの輸送を担うポリン(酵母Por1)の新機能発見の論文がNature Communicationsにオンライン出版されました。前研究員の竹田弘法博士(現埼玉大),篠田沙緒里博士(現東大)らの研究成果です。東大,産総研,金沢大,山形大,ストラスブール大との共同研究です。
本研究ではmtDNAを失うPor1変異体を発見し,それを使って,mtDNAの漏出/欠失に関わる新因子を同定しました。このPor1変異体は,今後mtDNAの漏出/欠失の機構解明の突破口をひらくツールとなるものです。mtDNAはミトコンドリアの正常機能に必須で,mtDNAの異常はミトコンドリア病を引き起こします。しかし酵母ではmtDNAを失うことがあり,ヒトでもmtDNAがミトコンドリアからサイトゾルに出てくることが感染応答の引き金となることが知られていますが,mtDNAの漏出や欠失の機構はこれまで不明でした。クライオ電顕でポリンが6量体構造をとることを決定し,プロトマー間相互作用部位に様々な変異を入れることで,新たな機能としてタンパク質のインポート基質の制御,脂質スクランブラーゼとしての機能,ミトコンドリアDNA(mtDNA)の維持に関わることを見出しました。
2025年9月11日